ここ数年四季をあまり感じられず、寒かったと思ったら急に暑くなって、あっという間に毎日猛暑日…なんて状態で、昔のままの暑さ対策では対応しきれない様になってしまいましたね。
飼い主さんたちも、急激な気温や湿度の変化に疲労感を感じている方も多いと思います。
こういった時期は免疫も下がり、熱中症になりやすく、ワンちゃん・ネコちゃんも熱中症により体調不良を起こしたり、救急でで受診する子が増え、中には命を落としてしまう子もいます。
熱中症は正しく気をつければ防ぐことの出来る病気です。
熱中症予防や、熱中症になってしまった時の症状・対処法について知っておきましょう!
【 熱中症のしくみ 】
- 気温の上昇により体温が上昇し、汗をかけない動物たちは『パンティング』(ハアハアやハッハッと口を開けてする呼吸)で体内の熱を下げようとする
- 過度のパンティングにより更に体温が上がってしまう
- 過度のパンティングにより水分が蒸発し脱水になり、血液が濃くなってしまう
- 過度のパンティングにより血液のpHが『酸性』に偏ってしまう(本来、身体は各臓器が正常に機能できるようにするために血液のpHを一定に保つようになっている)
- 重度の脱水や血液の酸性化などにより、心臓や腎臓、脳などに大きな影響が出てしまう
【 熱中症の兆候と症状 】
- 呼吸が激しくなる
- 呼吸時にゼエゼエと音が鳴る
- よだれが出る
- 体温上昇(耳の穴や内股などに手を当てると、いつもよりも熱く感じる)
- 口の中(舌や歯茎など)が鮮やかな赤色になる
- 脈が速くなる(内股で脈が触れる場合がある)
- 元気がない
- 食欲がない
- 嘔吐
- 下痢
- 血便
- 血尿
- 尿が出ない
- ぐったりする
- 立てない
- おかしな行動が見られる
- 意識もうろう
- 意識消失
- 痙攣
- お腹などにまだらなアザ
…などなど
【 重症度による対処方法 】
レベル①
意識はある、過剰な呼吸(パンティング)、自力で飲水できる、元気がない
- 冷えた場所(室温20℃程度)で安静にさせる
- 飲水させる
- 同時に動物病院へ連絡
- 動物病院の指示に従って動物病院へ受診
レベル②
意識が低下、もしくは自力で飲水できない、高熱がある
- 冷水(15℃程度の常温水)で首から下を濡らす ※誤嚥の危険があるため水を飲ませないようにする
- 首・脇・足の付け根に保冷剤を当てる
- 同時に動物病院へ連絡
- 動物病院の指示に従って、速やかに動物病院へ受診

【 熱中症予防の『知っ得!』ポイント 】
自宅編
- 温湿度計を動物のいる位置に設置する(エアコンの設定温度と実際の温度・湿度は違う)
- 湿度も苦手(最適湿度50%~60%)
- エアコンは冷房だけではなく、除湿や除湿冷房を使い分ける
- エアコンと扇風機などで部屋全体を涼しくする
- 気温が上昇し始めた頃(5月頃~)からエアコンを動かす(元気な子で室温22℃~25℃程度)
- パグやフレンチブルドッグなどの短頭種はより早い時期からエアコンを必要とする
- 扇風機だけでは、体表に汗をかけない動物は大して涼しく感じない(人間が風に当たって涼しく感じるのは体表の汗が冷えるため)
- 夜でもハアハアと呼吸をしている場合は暑いと感じている可能性がある
- 常にお水が飲めるようにする
- 冷房が嫌いな子(特にネコちゃん)も、冷房の効いた部屋の近くで涼んでいる
- しっかり睡眠をとらせる
- しっかり栄養を摂らせる
- 動物の様子をよく観察しておく
屋外編
- 日中の散歩はさせない
- 日暮れ後でも高湿度などで暑い場合がある
- 散歩の前に地面を触って熱くない事を確かめる
- 人間よりも低い位置にいる動物は、アスファルトの照り返しなどの熱を直に受ける
- 動物が嫌がるときは、無理に散歩に連れ出さない
- やむを得ず外出させる場合は、日陰などで休憩や飲水をこまめにさせる
- キャリーバッグの中はサウナのようになっている場合がある
- キャリーバッグの中や周りに保冷剤をセットする
- 川や海などで水に浸かっていても、直射日光を浴びてしまい体温上昇することがある
- 動物の様子をよく観察しておく
車内・旅行編
- 車の中は通常室内よりも気温が上がりやすい
- 長時間の移動をする場合はこまめに休憩や飲水をさせる
- 動物単独で車内で留守番させない
- 車酔いをする子は事前に酔い止めなどの相談をかかりつけ獣医にしておく
- 旅行先でも動物の生活のリズムを出来るだけ乱さない
- 食べ慣れた食事や食器を準備しておく
- お気に入りのマットなどを準備しておく
- 旅行先や道中で相談できる動物病院をリサーチしておく
- 動物の様子をよく観察しておく
高齢・持病のある子編
- 高齢、持病のある子は室温や湿度の管理を徹底する必要がある
- 高齢の子は日常的に脱水している場合があるため、室内でも熱中症になりやすい
- 高齢の子は飲水量が減っている場合がある
- 高齢の子は多少暑いと感じても、涼しい場所に移動しない(できない)ことがある
- 高齢の子は若い頃に比べて暑さに鈍くなっていることがある
- 持病のある子は気温や湿度などのちょっとした事が身体の負荷になってしまい、熱中症のリスクも高く、重症化しやすい
- 心臓に持病のある子は呼吸や脈拍、血圧が乱れやすいため、熱中症のリスクも高く、重症化しやすい
- 腎臓に持病のある子は普段から脱水しやすく、血圧も高くなりやすいため、熱中症のリスクも高く、重症化しやすい
- てんかん発作のある子は発作時に体温が上がってしまうため、熱中症のリスクも高く、重症化しやすい
- 動物の様子をよく観察しておく
ワンちゃんやネコちゃんは身体に熱がこもりやすいので、あっという間に熱中症になってしまいます。
軽い熱中症であれば命を助けることも出来ますが、重症度が上がってしまえば致死率も上がってしまいます。
当たり前ですが、自分でエアコンを操作したり、水道をひねってお水を飲んだりも出来ません。
言葉で不快を訴えてくれない代わりに、呼吸の仕方などの態度で不快を教えてくれているかも知れません。
普段からワンちゃんネコちゃんの様子をよく観察し、「あれ?いつもとちょっと違う!」と気づいてあげてください。
また、ニュースなどで「高齢者などは熱中症のリスクが高くなってきます」などのフレーズを耳にしたら、お家のワンちゃんネコちゃんの熱中症リスクも高まっていると思ってください。
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